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22 冬のにおい

22 冬のにおい

写真家・野川かさねが山の世界のひとかけらを皆様にお届けする連載フォトエッセイ「山と写真」。第22回は「冬のにおい」。 冬のにおいがする。 鼻のおくにツンと刺さる冷たい空気のにおい。 木々の隙間から細く、鋭い光のにおい。 土からあがる湿気に満ちた湯気のにおい。 小屋の煙突から立ち上る薪のにおい。 川の水しぶきが小枝の上で氷になる。 森の苔が凍っている。 その匂いたち。 鼻をくんくんと嗅がなくても、体全体から感じる冬のにおい。 その匂いで体がいっぱいになると 自分のすべての感覚がすっと姿勢を伸ばす。 そして、山は静かにきたる季節を自ら刻んでいる。

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