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BLACK TALONさんの投稿

私はかつて「食文化の豊かな国は国民性もまた豊かである...」などと、全く根拠のない持論を持っていた。

ゆえに、日本人はその現れが顕著であり、一見素朴に見え質素な料理の中にも美学がある日本食は正に日本人としての性質の一つを捉えていると言っても過言ではないだろう。
料理とは国民性の写し鏡である...
と。

では、「世界一料理が不味い国はどこか?」の問いに決まってブッチギリ上位にランクインするのが「イギリス」であるが、この国民ってのは“やたらとサングラスを掛けたがる割にはマスク着用を拒む”と聞いた事がある。
では果たして国民性や民度もブッチギリで乏しいのか...?

(ここからは「キャンプ猫さま」から着想を得た(単なる乗っかり)、大変長文となり(所要時間5分)、その割にはハートウォーミングでもない全く中身の薄い内容となります。何卒ご容赦くださいませ)

−−−−−−−−−

私には、かれこれ20年来の同僚であり友人でもあるインドネシア(バリ島)人がいる。
(ここでは仮に「ビンタン」と彼を呼ぶ)

ビンタンは日本人女性と結婚し、日本で2人の娘を育てあげたクソマッチョなナイスガイだ。
「娘ガ育ッタラ奥サント国ニ帰ルヨー!」と、そんな些細な夢を叶えるために必死でこれまで頑張ってきた。
だがしかし、一昨年自分独りが日本に置いてきぼりにされ、残りの家族は一足先にバリに移住し、今現在は家族とは離散している。
なんとも皮肉じゃあないか...。(不仲ではないです)

っと、脱線。
そんなビンタンの紹介で、やはり日本で暮らしているロシア人(ピロシキと呼ぶ)と仲良くなり、またピロシキの紹介で二人のイギリス人男性(フィッシュ&チップスと呼ぶ)とも仲良くなった。

そのフィッシュ&チップスが今回の話の主役。
彼等は恋人同士であり、二人を見てると仲睦まじくホッコリする。
「LGBT」のネガティブイメージはそもそも持ってはないが、それを完全に払拭してくれたのは彼等である。

数年前にそんな彼等の愛の巣であるホームパーティーに招待されたが、正直気乗りはしなかった...。
なぜなら、お尻に危険を感じた...訳ではなく、かなり失礼ではあるが“料理が不味そう”だからだ。
それもそのはず、白身魚フライを30分揚げ続けるような物を彼等は「料理」だと呼ぶ事を...。
「世界一不味い国」として私は既に認識をしていたのだ。
そして例の持論も頭をチラつかせていた。

彼等のことはまだ良く知らず、また料理が不味そうな上に、そして自分よりもお酒の強そうな異邦人と何時間も付き合うことを想像するだけで、既に「ご馳走様!お邪魔しましたー!!」と言いたくなる。

だが、彼等のお宅にお邪魔すると、無国籍かつ多種多様に大皿を彩った美味しそうな料理が並んでるではないかっ!

どの料理に箸を伸ばしても、控え目に言ってもそこらの小料理屋と遜色ない...いや、むしろそれ以上に旨いかも知れない。
フィッシュが作る料理をチップスが喜ぶから次第に料理上手になったと言う。
「きのう何食べた?」のシロさんのようである。

またその日が「はじめまして」のスウェーデン人、ジョージア人、セネガル人(←ちょっと定かじゃない)も駆けつけ、計7カ国の民族による「社会に全く影響を与えないG7」となった。

パーティーを一言で語るとすれば「カオス」!

なぜなら...
こんなにも料理を振る舞ってくれているにも関わらず、ビンタンは自身の肉体のためだけに持参したサラダチキンしか食べていなかったり...
「ウォッカナンテタダノ水ダヨ!」と言ってアホ飲みしていたピロシキが、開始1時間たらずで誰よりも早くに壊れてしまったり...
遅れて登場したスウェーデン人が「美味シクナイカモー」と持ち寄ったお手製ミートボールが本当に美味しくなかったり...
片言通り越してもはや解読不能な日本語で「ナンデ日本ニ住ンデイルノニ、アニメ観ナイデスカー」とジョージア人から言われのない説教を受けたり...
室内では雰囲気あるメロウな音楽が流れているのに、聞いたこと無いメロディの歌をひたすら歌い踊り狂っているセネガル人がいたり...
自宅に招いた二人はずぅーっと見つめ合いながらキャッキャとお喋りしていたり...
と、この日はやたらと楽しく、色々とカルチャーショックを受けた思い出深い日となった。
(ツッコミ疲れが半端なかったけど)

当初に抱いていたネガティブイメージはいずこへ...。


そんなフィッシュ&チップスとも現在でも交流は続いており(ピロシキは音信不通)、先日我が家に「お年賀」を持って来訪してくれた。
「イングランドノ変異ウィルス、ゴメンナサーイ!」とブリティッシュジョークなのか微妙な少し遅めの新年の挨拶。
まぁこの国民はやたらとブラックユーモアを織り混ぜるので軽くシカトする。

「コレ、K(私のあだ名)ガ好キナヤツー!」と、手には「お手製ローストビーフ」と「ジン・ボンベイ」。
必ずこの2品を持って毎年律儀に挨拶に来てくれる。

確かにフィッシュが作る自国料理のローストビーフはやたらと旨い。
特に醤油ベースのディップソースが意味分からんほど絶品なのだ。
また「生モノが少し苦手」な私の娘のために、茹で時間を少し延ばしてくれた心遣い。
まさかそんな些細なことまで覚えてくれていたとは...。
(今は生モノ克服したため、通常の調理です)

ジンに関しては洋酒の中でも一番好きなお酒である。
ホームパーティーで飲ませてもらったジンがやたらと旨く感じたが、酔いのおかげでその銘柄をすっかり忘れてしまっていたけど、その翌年に持ってきてくれたジンが「そう!ボンベイ!!これだよ!!これ!!!」

実は彼等の目的の5割は私がお年賀のお返しに渡すお酒である。
初めてお年賀をもらった年、手ブラで帰す訳にはいかなかったので、以前こちらでも紹介させて頂いた「大吟醸梅酒」を持たせた。
それ以来、チップスの方が特に梅酒をお気に召したようで、すっかりどハマりしたそうだ。
この物々交換が毎年の恒例となっている。
まぁ、それを差し引いても手間暇かけて喜ぶ顔が見たい一心で届けてくれるなんて...「ちょークール」としか言えない。
ほんっと、涙が出ちゃう。 出なかったけど。

「せっかくだし、お茶出すから上がりなよ!」と誘っても、「ゴ近所ニ私ガオ邪魔スルトコ見ラレタラKニ変ナ疑イ掛カルカラ悪イヨー!」と、マスク越しにモゴモゴとそんなニュアンスで固持。
ちょっと気にしすぎかと思えた彼等の言動は、もしかしたら最近そのような事でトラブったのかも知れない...と思った。
であれば、彼等は昨今を騒がしている変異ウイルスのせいで、私の想像も出来ない程に奇異の目にさらされ、息苦しい生活をここ日本で送っているのかも知れない。
さっきの挨拶はブラックユーモアでもなく、素直に出た言葉だったのだろう。
彼等の精一杯の気遣いを無下にする訳にもいかず、「そう?じゃあまたね!」と多くは聞かず、そのまま彼らを見送ったが、何故か日本人としてこちらが彼等に謝らなくてはならない気がした。


そんな彼等のために、また自分達のためにも、一刻も早い新型コロナ終息に向け私達に出来る事とは...
人それぞれですが「決して諦めず」また「人を思いやる精神」それのみが肝要だと。
(最近、投稿でも散見されます「ゴミ問題」も同じ事言えますよね)

私がフォローさせて頂いてます「yoshimura familyさま」の締めのお言葉
「今日も世界が平和でありますように...」
って、本当にこれを願うばかりだ。
むしろそれ以外は望んでもない。
いや、ウソついた。物欲の塊だった。


っと、少し話が逸れたが、それにしても誰だ!?「飯不味けりゃ国民性も乏しい」なんて言ったヤツは!
俺だ!!!
お前ってやつはなんて無知で偏見の塊なんだっ!
アイツら以上の気配上手は見たことない。
仕事以外のお年賀なんて日本人ですら消え行く風習な気がするのに...。


さて...だいぶしりつぼみな話になってしまったが、お気に入りのローストビーフとボンベイで、
今宵も改めて持論が壊れた夜に...「乾杯!」
そして英国の紳士淑女たちにも...「cheers!」




最後までご覧になって頂き本当にお疲れ様でした。感謝!!
アウトドア、全く関係ない投稿。

自分の心の中で納めておくつもりでしたが、緊急事態宣言下の自粛生活ってのは必要以上に時間もあるため、何でもかんでもネタにしてしまう...不思議だ。

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