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comachinchinさんの投稿

あれは、ある春の日の出来事でした。



鈍色の空、しかしながら風もなく穏やかな海。心地よい陽気?に欠伸を促されながら、なかなか届かない竿の恨みつらみを吐き出しつつ、私は間に合わせのタックルで釣りをしていたんです。
周りには人はちらほらいたものの、ヒットコールも特に無く。皆なかなか訪れない海からの便りを待ちながら、ゆったりとした時間が流れていました。片手で数えられる程しか現れなかった薄い潮目すら、射程距離に届く前に霧散して……。






そんな時でした。






「ジジッ、ジーーーー!!!ジジジジッ!!!!」





突然、辺りに金属音が響き渡りました。
何事かと思いました。一体どこから?音の出所に気付くのに、そう時間はかかりませんでした。
自らの手の中にあるタックル。それが異常な程に大音量を鳴らしているのです。
ギリギリとしなる竿、止まらないドラグ。恐ろしい程に鳴り響くドラグ音に、私はただ恐怖のあまり慄き、思わずリフトをし、テンションをかけ、出た分のラインをハンドルを回して必死に回収していました。いえ、そうすることしかできなかったのです。
リフトし、巻いても巻いてもラインは再び出ていく。募る焦燥感と、ドクドクと溢れてくる好奇心と恐怖心。
突然の出来事に、周りの人たちも固唾を飲み、その光景をただ静観することしかできないように見えました。

生半可な言葉では形容し難い、そんな時間が5分ほど続いたと思います。

しかし、やがてその勢いはどんどんと失速し、そいつは正体を現しました。上がってきたのは80センチ丁度くらいの、4.5キロほどのブリでした。その頭は大きく、胴もそれなりに太くて、強靭さが伺える魚体でした。
3000番の汎用リールとパワーの無い廉価シーバスロッドで、必要以上の体力と精神力を絞り出し、何とかその青い大物を釣り上げることができました。

過剰なほどの心拍の上昇。掌がじんわりと汗ばんでいたことを、今でも鮮明に覚えています。





今思えば、これが全ての始まりだったのかもしれません。そう思えてならないんです。いや、もしかしたらもっと前からだったのかも。だって、今だってあの海は……。








これが、私の経験した恐怖体験です。









敬具。








あ、朝イチにサワラをバラしました。1番の恐怖体験です。こわ。

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ロッド :レイジー 100MH

リール :22イグジストPCLT3000-XH

ライン :UVF モアザン デュラセンサー×8+Si² 1.2号

リーダー:カーボナイロン30lb

スナップ:なんか50lbくらいのやつシーズン4!!!!

ルアー :ショアラインシャイナーZ セットアッパー 145S-DR ラトリンゴールドレインボー

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